建物の経年「劣化」と経年「変化」
今回は、素材選定のお話です。
家の外側も内側も、時間が経つとともにさまざまな影響を受け、形を変えていくもの。
それを見越した素材選定が家づくりの段階で出来ると、長く快適な住まいの実現につながります。
建物には年月が経つにつれて進む「劣化」と「変化」があります。
経年劣化するのは、太陽の紫外線を直接受ける建物の外回り素材や、内部素材で強度が低下するものなど。
具体的には下記が挙げられます。
外回り素材:屋根材、外壁材、樋、破風、軒天、サッシ、ウッドデッキなど
内部素材:フローリング、畳、既成プラスチック製品など
これらの素材に関しては、コストとのバランスもありますが、極力長期間メンテナンスフリーになり得る素材選定をすることがポイントになります。
一方、経年変化とは、素材の機能が失われる経年劣化に対し、年月の経過とともに味わいを帯びてくる変化のことを指します。
できれば、この経年変化を「経年美」と捉えられるような素材選びが出来るとよいのではないでしょうか。
無垢材の経年美や塗壁の味わい深さは、新築住宅にはない独特の魅力があります。
素材の劣化を防ぎ、経年変化を楽しむためには、日頃のメンテナンスが欠かせません。
早いタイミングでの大がかりな修繕を避けるためにも、出来ることはやるクセをつけることが肝心です。
例を挙げると、浴室の換気などは習慣化したいところですね。
近年は建物自体の気密性が非常に高いため、湿気の多い浴室は特に換気が必要です。
毎日最後に入浴した後は浴室の戸を閉め、換気扇を回して湿気の排気を行うと、カビが生えにくく長持ちしますよ。
いわゆる規格住宅でなければ、家づくりの素材選びは自由度が高く、大いに楽しめるポイントです。
選定の際には今回紹介したような事柄も念頭に置いておくと、よりよい家づくりにつながるでしょう。